#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

ジョージ・オーウェル『動物農場』

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★本の情報

ジョージ・オーウェル動物農場

・訳:川端康雄

・出版:岩波文庫

 

★あらすじ

「すべての動物の平等」を謳って産声をあげた動物農場。だがぶたたちの妙な振舞が始まる。スノーボールを追放し、君臨するナポレオン。ソヴィエト神話とスターリン体制を暴いた、『一九八四年』と並ぶオーウェルの傑作寓話。舌を刺す風刺を、晴朗なお伽話の語り口で翻訳。

 

★感想

原著で読んでみたい、読後すぐに感じたのはそんなことでした。ジョージ・オーウェルはどんな言葉を使い、どんな言い回しでこの本を書いたのか。もっともっと著者の考えに近づきたい、そんなふうに思いました。

 

この作品には様々な動物が出てきますが、それぞれモデルがいるんですよね。ナポレオンはスターリン、スノーボールはトロツキーといったように。それにしてもこのそれぞれの動物に付けられている名前が私はとっても好きでした(笑)なんだかかわいいです。

 

文中で「動物たちは~~~という気がしてくるのでした。」という表現が何度も出てくるのですが、社会においてこれが一番怖いことなんじゃないかと。権力者の言動に矛盾を感じた場合でも(それとはっきり分からなくても)、「いやいや、偉い人が言うのだから正しいのだ」と。

作中でも教養を持った動物も出てきますし、もともとあまり教養は持ち合わせていなくても、経験から「何かおかしいぞ」と感じる動物もいるのですが、批判し反抗したら殺される。

じゃあ大人しく従っていればいいのか、というとそうでは大変なことが起きるというのを私たちは数々の歴史から学んだはず。本当は、このナポレオンが頭角を現す前に(というより「動物農場」を作る前に)それを回避しないといけなかったのだろうと思います。でもそれも気づかないうちに行われていたので、仕方がないのかもしれないのですが……。そうならないために、どうしたらいいのかを考えることが大事なのではないかと思っています。知恵を出し合うこと。流されそうになっていないか自覚的になること。

 

この本はソ連批判・全体主義批判の本だと言われますが、私は今となってはもう本当に多くの国や地域、組織に当てはまるんじゃないかと思うのです。政治批判が主のブログではないので、具体的に書くのはやめますが、人々の不安を大げさにあおり、外(物理的な意味での外、だけでなく)に敵意を向けさせ(この場合だいたい内側がうまくいっていないことが多い)、権力側にとって不都合なことが起きたらもみ消したり言葉だけで取り繕ったり……。

 

私は、考え続けることが大事だと思うのです。

 

私自身が(ほぼ無いが)ある人・物事に対し権力を持つ可能性だってある。得てしてそれは無自覚のうちに始まる。だからこそ、常に自省し続けたい。そして何ができるのかを考え、小さくてもいいから行動し、自分の信じる道を進みたい。

 

 

……とまあ色々書きましたが、やっぱりこの本は動物を通して描いたことにとても意味があったのだと思います。

ジョージ・オーウェルみたいな才能を持った人が、きっとこの世の中にはもっと必要だ。

 

 

最後に、ちょっとどうでもいいのですが、本作の終わりの場面(ぶたと人間の場面)でつまらない人間の私は『千と千尋の神隠し』を思い出してしまいました(笑)映画が公開された当時小学1年生だった私はあれがすごく怖かったんですよね…(笑)

本作では「怖い」という感情よりも、見ていたほかの動物たちと同様に「おいおいぶたは何をやってるんだ?」という気持ちになりました。

 

あと、これまた最後に、副題の「ーおとぎばなしー」というのが最高に皮肉がきいてますよね。原題では「ーA Fairy Storyー」。くう~~~っ、さすがイギリス人ですな(笑)