#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

エラリー・クイーン『中途の家』

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★本の情報

エラリー・クイーン『中途の家』

・訳:井上勇

・出版:創元推理文庫

 

★あらすじ

ニューヨークとフィラデルフィアの中間にあるあばら家で、正体不明の男が殺されていた。男は、いったいどっちの町の誰として殺されたのか? 二つの町には、それぞれ殺人の動機と機会を持った容疑者がいる。フィラデルフィアの若妻とニューヨークの人妻をまきこんだ旋風の中に颯爽と登場するエラリー。巨匠が自薦ベスト3に選ぶ迫力編!

 

★感想

まず、この『中途の家』というタイトルが秀逸ですよね。被害者の遺体が発見されてわりと早い段階で、クイーンが「被害者はニューヨーク側の人間として殺されたのか、それともフィラデルフィア側の人間として殺されたのか」みたいなことを指摘するのですが、これは本当に興味深いですよね。できればこの視点を持ち出す必要のある場面に遭遇はしたくありませんが(笑)、自分の引き出しに入れておきたい考えの一つであることは間違いないです。

 

物語の終盤で、消去法で犯人を特定していく場面があるのですが、これは見事でした。あまりに完璧で(理詰めで(笑))、推理小説の教科書のような完成度の高さでした。犯人が明らかになってみると、まあ結構分かりやすいのかなとも……(特に動機については。犯行自体は少し難しいかも)。まあこれも犯人が分かった後に言うのはズルいですね。

 

上記のように、犯人を特定するフーダニットの面白さはもちろん、私はそれに加えてビルと検察官、被害者を目の前にした女性二人のやりとりなども印象に残っています。人には思いがあり、それはきっと必要な時に必要な場所であふれるのだと思います。そのあふれる方向が、悪いほうではなく少しでも良いほうであることを願ってやまないです。