#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

バルザック『グランドブルテーシュ奇譚』

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★本の情報

バルザック『グランドブルテーシュ奇譚』

・訳:宮下志朗

・出版:光文社古典新訳文庫

 

★あらすじ

妻の不貞に気づいた貴族の起こす猟奇的な事件を描いた表題作、黄金に取り憑かれた男の生涯を追う「ファチーノ・カーネ」、旅先で意気投合した男の遺品を恋人に届ける「ことづて」など、創作の才が横溢する短編集。ひとつひとつの物語が光源となって人間社会を照らし出す!

 

★感想

バルザックの作品はいつもどこか「身近」なのである。大文豪でありながら、紡ぎだす物語や登場人物はすーっと心に入ってくる。

彼の生み出す物語は、すぐとなりのお話だ。そう感じるのは、この本に収められているすべての物語の登場人物があまりにもリアルだからでしょうか。国や時代は違えど、今を生きる私がこれほど共感してしまうのは、ひとえにバルザックがいつの時代も変わらない人間の本質を見抜くことに長けていたからだと思います。

 

 特に表題作である「グランドブルテーシュ奇譚」は、本当にそこらじゅうにたくさんいる嫉妬深い人そのものでした。最後の一言が、背筋が凍るほど恐ろしい。あんなこと、人間の心を持った人は言わないよね。鬼だ鬼。でも、愛し方の方法を間違えてしまったら、いとも簡単に起こりうることなのかも。

 

人間って怖いですね。でもそれを説教たらしく私たちに伝えるのではなく、色鮮やかな物語に仕上げてプレゼントしてくれるバルザックには、やはり頭が下がります…。