#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

【読了】『ゴリオ爺さん』バルザック

 

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きっとまた、フランス古典文学によくある立身出世の野心を抱いた若者と年上女性との恋愛小説なんだろうな、そんな思いでページをめくり始めた本作、予想を良い意味で裏切ってくれました。

 

 

タイトルこそ知っていたもののこれまでなかなか手を出さず、今回読んだのも、大好きな作家であるS.モームの「世界10大小説」に本作が入っていたからという理由でした。

 

 

海外文学好きを豪語しておいて読むのが遅くなってしまいましたが読めて良かったと心から思える作品にまた出会えたのが何より嬉しいです。

 

 

物語は、本作の登場人物の多くが住まい、重要な場所であるヴォケール館の紹介から始まります。冒頭バルザックが述べるように、ドラマの舞台なのです。

 

 

★あらすじ

 

出世の野心を抱いてパリで法学を学ぶ貧乏貴族の子弟ラスティニャックは、場末の下宿屋に身を寄せながら、親戚の伝を辿り、なんとか社交界に潜り込む。そこで目にした令夫人は、実は下宿のみすぼらしいゴリオ爺さんの娘だというのだが......。 

 

 

 

 

 

 *以下は感想です。物語の内容に触れる箇所がありますので、ご了承ください*

 

 

物事の善悪は、部外者が決めて良いのか、それとも当事者だけに委ねるのが良いのか。読後わたしの頭に浮かんだのは、そんなことでした。

 

ゴリオは娘二人に愛情を与えていたのだろうか。本物の愛情だろうか、否、あれは返されるべき恩、を売っていたのではないだろうか。彼の狂気とも取れる盲愛は、娘さんを持つ世の中のお父さんなら共感できてしまうところがあるかもしれません。
娘二人は本当にどうしようもないなと思ったのですが、単純にそこだけを責めればよいという問題でもなく。

 

家族や結婚の難しさと厳しさと現実を、バルザックは書きたかったのでしょうか。

 

得てして家族のことになると部外者は口を出すなと言われてしまいますが、実際この物語で必死の献身を見せるラスティニャックや、「医学的興味さ」なんて言いながらも治療に最善を尽くすビアンションなど、言ってみれば救いは部外者なのです。

 

難しいなあと思いました。

 

 

お金がすべて、これはもしかしたら現代の日本でも同じなのかもしれません。悲しいけれどそれが現実なのかもしれません。でも、私はもう少しだけ愛や思いやりというのに期待したいと思うのです。期待したいと願う人こそ、でも冷静にお金のことを考えないといけないのかもしれないですね。

 

そしてこの物語では悪役のヴォートランですが、私はどうも嫌いになりきれませんでした(笑)彼のような生き方もまた、一つだと思うのです。

 

フランスでは「ラスティニャック」という単語が”立身出世のためなら手段をいとわないこと”の代名詞になっているという話も聞きますが、それでも私はラスティニャックの行動と高潔な気持ちは素晴らしかったと思います。ラストを受けて、これから彼にどんな未来が待っているんだろうと、引き返せない道を歩み始めてしまった彼に、どうか幸あれと、思わずにはいられませんでした。

 

ページ数こそ多いですが、それほど長さを感じさせず、まるでミュージカルかドラマを見ているように読めてしまいます。ぜひ、お手に取ってみてください^^