#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

ガルシア・マルケス『予告された殺人の記録』

 

サンティアゴ・ナサールに言うんだ、奴を始末するためにおれたちがここで待ってるってな―

 

 

 

これほど大胆に、そして明らかに予告された殺人があっただろうか。

ガルシア・マルケス『予告された殺人の記録』を読みました。

 

 

この小説は被害者の親友であり加害者の親戚である「わたし」が調査し克明に記録した一つの殺人が描かれている。ミステリーや推理小説の要素がありつつ、それだけではない雰囲気を醸し出しています。

 

その理由が、偶然が生んだ「予告された殺人」もサンティアゴ・ナサールがなぜスケープゴートにならなくてはならなかったのか、そのわけを考えることがこの小説の重要なテーマだと思えるからです。

 

移民への憎悪というナショナリズム的な側面や、母系社会のマチスモなど、社会的な要素含まれています。サンティアゴ・ナサールは移民の父を持っており、裕福でハンサムです。この「裕福な移民」への妬みや悪意というのは、今の世界情勢でもむき出しになっている問題ではないでしょうか。もちろんこの小説は彼が移民の血を引くという面を大々的には描いていませんが、うっすらと、でも確実に影を落としています。

 

上記のような意味からも、私はこの小説は大学の講義の教材としても(文学部だけにとどまらず)非常に良いのではないかと思います。

 

 

また良い本に巡り合えました。

 

 

 

 

予告された殺人の記録 (新潮文庫)

予告された殺人の記録 (新潮文庫)