#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

スティーヴン・ミルハウザー『イン・ザ・ペニー・アーケード』

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★本の情報

『イン・ザ・ペニー・アーケード』

作者:スティーヴン・ミルハウザー

訳:柴田元幸

出版:白水Uブックス

 

★あらすじ

遊園地のペニー・アーケードの様々な仕掛けに子供達が胸躍らせるように、本書の読者はミルハウザーの圧倒的な想像力の前に大いなる驚きと興奮を味わうことだろう。からくり人形師の信じ難いまでに洗練された芸術を描く傑作中篇「アウグスト・エッシェンブルク」を含む巧緻極まりない短篇集。

 

★感想

 

うつくしい小説だった。

 

つかめないと分かっていても、手ですくい取って閉じ込めておきたい感情、というのがあると思う。それを、哀しさを伴ったうつくしい文章で書ききっているのが、この本だ。

 

何かを「なつかしい」と思うようになることが、大人になったことの一つの証明であるように感じる。けっして戻れない時間と場所に思いを巡らせ、嬉しいとも悲しいとも言えない気持ちになる。でも、どちらかといえばなつかしさは悲しみの親戚なのだろう。

 

でも、そんな悲しみや懐かしさ、も日々忙しさに振り回される私たちは時にそれを感じることさえ忘れてしまう。

だからこそ、一瞬でも生まれた気持ちは大切にしたい。声に出して誰かに伝えるでもよし、静かにノートに書き記すでもよし。

 

もっともっと、気持ち、感情、を大切に。

自分と、みんなの。