#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

ジョセフィン・テイ『時の娘』

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★本の情報

作者:ジョセフィン・テイ

訳:小泉喜美子

出版:ハヤカワ文庫

 

★あらすじ

国史上最も悪名高い王、リチャード三世——彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか? 退屈な入院生活を送るグラント警部はつれづれなるままに歴史書をひもとき、純粋に文献のみからリチャード王の素顔を推理する。安楽椅子探偵ならぬベッド探偵登場。探偵小説史上に燦然と輝く歴史ミステリ不朽の名作。

 

★感想

 

私たちは、歴史をどう見ているだろうか。

過去に起きた一つ一つの出来事、過ぎ去ったこと、変わらないもの、変えられないもの……。

確かにそうかもしれない。

 

ただ、私たちの歴史の見方、は変えられるかもしれない。

…この本を読み終えた後、そんなことを考えていました。

 

この小説はリチャード3世について世の中で常識だと思われていることを疑っていきます。主人公のグラント警部がこの歴史上の人物に興味を持ったのは、彼の肖像画から。

もちろんこの小説が書かれた当時からしても昔のことなので、その場に行って調査することはできません。(グラント警部は入院中でもありますしね。)そこで、文献をもとにこの歴史を再考していくのですが、だんだんと盛り上がっていく様子がとても面白いです。

(途中で素敵な”相棒”も加わります^^)

 

コリン・デクスターの『オックスフォード運河の殺人』も、この『時の娘』と同じ構成の小説です。前者の方が現代に近いこともあり、推理小説としての驚きは大きいですが、後者はよりアカデミックな雰囲気があります。もちろんどちらも面白いことには変わりないのですが…。

 

私もベッドでただひたすら休んでいないといけない退屈さはよく知っています。天井を見つめているのって信じられないくらいすぐ飽きるんですよね。

ただ人はこういう機会でもないと、物事をじっくり考えられないのかもしれません。時間がない、をお得意の言い訳にして。

でもきっと、興味が出てきたらとことん調べてみるって、素敵な試みなのかもしれません。歴史が変わる、かもしれないのですから^^