#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

コリン・デクスター『ジェリコ街の女』

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★本の情報

・コリン・デクスター『ジェリコ街の女』

・訳:大庭忠男

・出版:ハヤカワ文庫

 

★あらすじ

モース警部がジェリコ街に住む女アンに出会ったのは、あるパーティの席上だった。すっかり意気投合した二人は再会を約すが、数カ月後、彼女は自宅で首吊り自殺を遂げた。はたして本当に自殺なのか?モースにはどうしても納得がいかなかった。やがてアンの家の近所で殺人事件が起こるにおよび、モースの頭脳はめまぐるしく動き始めた。前作に続き英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞を連続受賞した傑作本格ミステリ

 

★感想

 

この一瞬のために、私は推理小説を読んでいるんだ、と思うときがある。

 

それは一ページ、一行、いや一言、かもしれない。

小説の中でたくさんの「?」が生まれ、様々な伏線が張られ、そして最後に「!」となる瞬間だ。

 

そんな気持ちのいい驚きを感じる瞬間が、この本にもあった。少しクリスティ作品にデジャブを覚えた部分もあったけれど、それでも新鮮な驚きをもってその瞬間を迎えた。

 

舞台はオックスフォード。一度だけ訪れたことがあるので、風光明媚な場所だったなあ~なんてのんきなことを考えていたら、この小説の中では悲しい事件が。そしてその事件にかかわり、見ていた老人もあろうことか殺されてしまう。

 

同じくデクスターの『オックスフォード運河の殺人』では入院生活をしていたモース警部ですが、今回は入り組んだ事件の捜査を頑張ります。真相は真相で面白いのですが、真相をつかむ少し前まで展開されていた、モースの妄想推理のほうが結構ドラマチックで味がありました。

 

デクスター作品はあまり読んだことがありませんが、それでも人物描写が魅力的だな~と思いました。特に警察側の登場人物が良いですね。モースはどこか色気がありますし、ルイスはモースをうまく扱っているし(いい部下…。)、ウォルターズもよいアクセントを加えていました。

 

真相については、事件の動機、犯行方法などは考えられる範疇かなという気がしますが、そこに至るまでの捜査が面白かったです。ジェリコ、という何とも言えないドキドキさせる響きをもった街が出てきますが、モースの心を躍らせ、”自殺した”アン・スコットも街の名前に負けず劣らず罪な人物です。

 

パトリック・クウェンティンの『二人の妻を持つ男』を読んだ時にも感じたのですが、美人は大変ですよね…私はそんな大変さとは無縁の世界にいるので、彼女たちの気持ちを理解できる日はもう少し先になりそうです…。