#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

フォルカー・クルプフル、ミハイル・コブル『大鎌殺人と収穫の秋』

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★本の情報

・フォルカー・クルプフル、ミハイル・コブル『大鎌殺人と収穫の秋』

・訳:岡本朋子

・出版:早川書房

 

★あらすじ

豊穣の秋を迎えるバイエルン地方で連続殺人が発生!悪質旅行業者と、元医師の作家が、相次いで殺されたのだ。死体の首は鎌で刈られ、現場には奇妙な暗号が残されている。もちろん捜査は大難航で、クルフティンガー警部が率いる捜査陣も右往左往。だが事件解決のカギは思わぬところに転がっていた。いっぽう、自宅の水道故障や、不仲な隣人とのつきあいなど、警部の私生活もまた混迷をきわめる…ヒットシリーズ第二弾。

 

★感想

今までドイツ文学はもとより、ドイツ人作家のミステリーにはほとんど馴染みのなかった私ですが、この本をきっかけに、もっと読んでみたいという気持ちになりました。

 

この物語の舞台はバイエルン。穏やかなイメージがありますが、本の中で起きる事件はおぞましい。死のにおいはページをめくったすぐそばからあり、不穏な雰囲気でお話は進んでいきます。 

 

 特に一人目の被害者、悪質旅行業者のズッターの死体の描写はけっこう目をそむけたくなるようなリアルさ、怖さでした。その暗さを和らげてくれたのが、主人公の中年警部クルフティンガーをはじめとする個性あふれるキャラクター達でした。

 

犯人の意外性は少々あったものの、犯行自体(どのように罪を犯したのか、その前後の行動など)は最後になってもあまりはっきりと描かれず、(想像ですが)犯行は結構単純だったんだろうなあと思います。そして、そうであるならクルフティンガーやその部下達があれほど駆けずり回らなくても、ヒントは得られたんじゃないかなあ、なんて思ってしまいました。

 

ただ、動機の面ではこの動機とこの犯人の結びつきは納得できましたし、原因となった事柄についても考えさせられる部分がありました。もちろんこの犯人は極悪非道だけれど。

 

推理小説好きからすると、もう少しミステリーの要素、謎解きの要素があったら嬉しかったなあと思う一方、これほどまでに愛らしいキャラクター(クルフティンガー!)を生み出してくれた作者には、本当に感謝しかないなあとも思います。ドイツでドラマ化され大人気を博しているというのも納得。日本でもNHKの海外ドラマ枠とかで放送してくれないかしら^^

 

このシリーズの第一弾(『ミルク殺人と憂鬱の夏』)もいつか読んでみたいなあと思いました◎