#恋する海外文学

ゆとり会社員がお届けする海外文学・ビジネス書・洋書の感想ブログ。 Literary Classics and Murder-mystery Book Review from Japan ;)

アガサ・クリスティー『鏡は横にひび割れて』

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★本の情報

アガサ・クリスティー『鏡は横にひび割れて』

・訳:橋本福夫

・出版:早川書房

 

★あらすじ

穏やかなセント・メアリ・ミードの村にも、都会化の波が押し寄せてきた。新興住宅が作られ、新しい住人がやってくる。まもなくアメリカの女優がいわくつきの家に引っ越してきた。彼女の家で盛大なパーティが開かれるが、その最中、招待客が変死を遂げた。呪われた事件に永遠不滅の老婦人探偵ミス・マープルが挑む。

 

★感想

大好きな『毒入りチョコレート事件』の犯罪研究会のメンバーにぜひ推理してほしい事件だった。というのも、もちろん最後に犯人は明かされるのだが、それまでの過程でいろいろなパターンが考えられ、推理する楽しさがあるからだ。

 

伏線はいろいろなところに張り巡らされており、どれとどれが繋がるのか、誰が何を考えているのか、それを一つ一つ考えていくのが面白い。

 

他の人のことなんて、きっと何もわからない。「○○さんは××なのよ」「○○さんは△△な人だから」、こう形容されやすい人ほど、その本当の姿や心の奥底にある思いは誰にも気づかれないのだと思う。

 

もう一つこの本を読んで思ったのは、優しさと思いやりは似ているようで違うということ。優しいというのは時に自分本位なところがある。「○○さんのために」というのが、実はその○○さんにとってはお節介なことだったり、ひどいときは触れてほしくなかったことだったりする。思いやりは、そこまで考えて、すべてひっくるめた上での言動なのだと思う。

 

今のは少しネタバレかな。そうならないといいのですが…。

派手さは少ないものの、いろいろなことを考えさせられる、味のある素敵な一冊でした。